中国科学院の重要な機能の一つが、大学の運営と傘下の研究機関での教育と研究者育成である。またこれに関連して中国科学院は、中国全体の研究者の資質向上や人材確保の観点から、様々な先駆的な試みを行っている。

 中国では教育の所管は国務院教育部(日本の文部科学省)であるが、大学は教育部だけでなく他の組織でも持つことができ、国務院のいくつかの部局、地方政府などが大学を有している。例えば、ハルビン工業大学や北京航空航天大学などは国務院の工業・情報化部(日本の経済産業省)の所管であり、国防科学技術大学(湖南省長沙)は中央軍事委員会の所管である。中国の有名大学である上海交通大学や西安交通大学は、かつては国務院の交通部(現在の交通運輸部、日本の国土交通省)所管であったが、現在は教育部所管となっている。このような背景にあるため、中国科学院は国務院の一部局として大学を所管しているのである。

中国科学院が所管する大学

 中国科学院の関係者に聞くと、自分たちは大学を2.5校有していると述べることが多い。中国科学技術大学(安徽省合肥)と中国科学院大学(北京)がそれぞれ1校、上海科技大学が0.5校である。

附属研究機関の大学院生(研究生)

 中国科学院は所管する大学とは別に、傘下の研究所に大学院生を招へいし、彼らを研究に従事させつつ修士号や博士号を取得させることが出来る機関に認定されている。中国科学院全体で約5.4万名の大学院生が傘下の研究所にいて、正規の研究者約6万名と一緒になって研究を行っている。中国科学院ではこれらの大学院生を「研究生」と呼ぶが、研究生のほとんどは授業料を実質的に免除され、さらに研究を指導する責任者が獲得してきた研究資金より生活費の支弁を受けている。